アルカリイオン水とは?特徴や天然水との違いについて紹介

アルカリイオン水は聞いたことがあるけど、そもそもどんなものかわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこでこの記事では、アルカリイオン水の基本的な情報や効果、飲む際の注意点、天然水や水素水との違いについて詳しく解説します。

アルカリイオン水とは

アルカリイオン水とは、カルシウムイオンを含んだ水を電解処理(電気分解)することにより生成される電解水の一種で、pH9~10の弱アルカリ性電解水のことを指します。スーパーマーケットやオンライン通販でペットボトルの飲料水として販売されており、家庭用のアルカリイオン整水器を使用して自宅でも生成できます。

アルカリイオン水は下痢や胃酸過多、消化不良などの胃腸症状の改善に効果があることが薬事法で認められており、近年の健康志向の高まりから飲用として注目を浴びています。

アルカリイオン水の歴史について

アルカリイオン水の効果に関する研究は1950年頃から始まり、1965年にはその効果が厚生省(現在の厚生労働省)に認められました。その後、1979年に水道の蛇口に直結しアルカリイオン水を生成できる「連続式電解水生成器」が承認され、1992年にメディアでその効果が紹介されたことでブームとなります。

ブームの最中、アルカリイオン水を「魔法の水」などと称したり、過剰な売り込みをしたりする販売会社も現れ、社会問題化したことで、負のイメージを持つ人もいます。しかし、その後5年もの歳月をかけてその安全性や有効性が認められ、現在では整水器を導入する人も多くなっています。

アルカリイオン水の効果

アルカリイオン水の効果について解説します。

胃腸症状の改善

日常的にアルカリイオン水を飲むことで、胃腸症状が改善する効果が期待できます。具体的には慢性下痢・胃酸過多・制酸・消化不良・胃腸内異常醗酵などです。

ただし、アルカリイオン水が胃腸症状の改善に効果があるメカニズムはまだ解明されていません。現段階では水素イオンやカルシウムなどが複合的に作用しているのではないかとされています。

医薬品のような即効性はない

アルカリイオン水は医薬品ではありません。飲めばすぐに胃腸症状が改善されるわけではなく、軽めの胃腸症状をやわらげると考えられています。

口内ケア

アルカリイオン水は、酸性の汚れを中和する効果があるため、口内のタンパク質汚れも分解できます。歯磨きやうがいの際にアルカリイオン水を使うことで、口内菌を減らす効果が期待できるので、歯周病や虫歯のリスクの低減、口臭予防に役立ちます。

血糖値の改善をサポート

アルカリイオン水には、インスリンを作り出す膵臓の細胞を活性化させる効果があることが認められています。

糖尿病などで血糖値が上がる主な原因は、インスリンの機能不全にあるとされています。アルカリイオン水を飲むことで血糖値の改善が期待できます。飲むだけですぐに血糖値が下がるわけではありませんが、食生活の改善などと合わせ継続的に飲むことで効果が実感できるでしょう。

運動後の酸化ストレスを減らす

アルカリイオン水には、運動後の酸化ストレスを軽減させる作用があることが報告されています。

筋力トレーニングや運動によって筋肉への負荷が増し、活性酸素が増加し酸化ストレスが発生します。アルカリイオン水には抗酸化作用があることから、これらの酸化ストレスから体を防御できる可能性が確認されており、運動パフォーマンスの向上に期待できるでしょう。

抗酸化作用

アルカリイオン水には活性酸素の働きを抑え、除去する抗酸化作用があると報告されています。

活性酸素とは呼吸によって取り込まれる酸素から作られる物質で、免疫機能に関与するものです。活性酸素は過剰に生成されると細胞の老化や脂質の酸化を引き起こし、生活習慣病やがんの原因となり得ます。このことから、アルカリイオン水を飲むことで生活習慣病などの予防に役立つことが期待されています。

アルカリイオン水を飲むには?

アルカリイオン水を飲む方法は主に2つあります。

ペットボトル

1つ目はペットボトルに入ったアルカリイオン水を購入することです。スーパーやネット通販でも気軽に購入でき、500ml入りで100円前後です。ペットボトルのアルカリイオン水はpHが8~9と中性に近い商品が多いため、初めてアルカリイオン水を飲む方はペットボトルの商品から試してみてもいいでしょう。

アルカリイオン整水器を使う

2つ目は家庭用のアルカリイオン整水器を使ってつくることです。アルカリイオン整水器は水道に直結して使用し、据え置き型やアンダーシンク型などのタイプがあります。多くのアルカリイオン整水器には浄水機能も付いていて、水道水をきれいにした後に電気分解をしてアルカリイオン水をつくり出します。

アルカリイオン整水器を使えば、pHを調節することが可能です。最初のうちはpH8~9のアルカリイオン水を飲んでみて、その後慣れてきたらpH9~10に上げることをおすすめします。

アルカリイオン整水器と浄水器の違い

アルカリイオン整水器と浄水器の主な違いは、生成される水の性質にあります。浄水器は、ろ過や消毒などにより水に含まれる不純物や残留塩素を除去し、よりきれいな水を作る装置です。

一方、アルカリイオン整水器は、浄水した水をさらに電気分解してアルカリイオン水と酸性水を生成します。

つまり、アルカリイオン整水器で生成される水は、もとの水道水と性質が異なり、胃腸機能の改善などの効果が期待できます。

浄水器で生成される水はあくまで水道水がよりキレイに、おいしくなるだけで性質が変化するわけでは無い点がアルカリイオン整水器と浄水器の大きな違いといえるでしょう。

アルカリイオン水を飲む時の注意点

アルカリイオン水を飲む時の注意点を6つ紹介します。

1日の飲用量は500ml~1L

アルカリイオン水は医療的な効果が厚生労働省より認められているため、飲む量にも気を付ける必要があります。

まずはコップ1杯のアルカリイオン水を飲んでみましょう。慣れてきたら飲む量を増やします。安全性が担保されているのは1日に500ml~1Lです。アルカリイオン水を飲みすぎてしまうと、胃酸の働きが弱まり下痢になることもありますので、飲み過ぎには注意しましょう。

pHの値に注意

アルカリイオン水を家庭用のアルカリイオン整水器でつくる場合は、pHの値を調整することができると先ほど述べました。

初めてアルカリイオン水を飲む場合は、pHを中性の7に近い8~9にしましょう。アルカリイオン水に慣れてきたら9~10程度まで上げても大丈夫ですが、胃腸に不調が出た場合は飲むのを中止してください。

また、乳幼児にはアルカリイオン水を与えるのはNGです。内臓が未発達の乳幼児はアルカリ性のお水をうまく消化できずに下痢になる可能性が高いからです。

医薬品と一緒に服用しない

アルカリイオン水で医薬品を服用しないでください。アルカリイオン水によって、薬の効果に変化が出たり副作用が強く出てしまったりする可能性があります。薬を飲む時は天然水や水道水で飲むことがおすすめです。

赤ちゃんのミルク作りには使用しない

赤ちゃんのミルク作りの際にアルカリイオン水を使用しないようにしましょう。赤ちゃん用のミルクは、ミネラルを含む栄養分が適切に調整されています。アルカリイオン水を使用すると、ミネラルの適正量を超えるリスクがあります。

また、生後1年未満の乳児は腸の機能が大人と異なるため、アルカリイオン水の使用は避けましょう。

疾患を治療中の場合は医師に相談する

何らかの疾患を治療中の場合は、医師に相談してからアルカリイオン水を飲むようにしてください。疾患の要因はさまざまでアルカリイオン水を飲むことで症状が悪化する可能性もあります。

また、飲用後も異常を感じた場合、症状に改善が見られない場合は飲用を中止し、医師に相談することも大切です。

腎疾患がある場合は飲まない

腎疾患がある場合は、アルカリイオン水を飲まないようにしてください。腎不全をはじめとする腎疾患がある方は、カリウム排泄機能が低下しているため、カリウムを含むアルカリイオン水の摂取により血中カリウム濃度が上昇するリスクがあります。

症状の重篤化に繋がる可能性があるので、飲まないようにしましょう。

知っておきたい!アルカリイオン水の使い道

次に、アルカリイオン水の知っておきたい使い道についてご紹介します。

炊飯

1つ目は炊飯に使う方法です。pH8~9.5のアルカリイオン水は水の吸収力を高め、デンプンを増やす効果があります。

アルカリイオン水を使って炊飯することで、柔らかく粘りのあるご飯になり、お米本来の甘みを引き出してくれます。

野菜の調理

pH9.5~10.5のアルカリイオン水は、野菜を茹でたりアク抜きしたりするのに最適です。青菜などを茹でると塩を加えなくても鮮やかな色に仕上がり見た目もキレイに。

また、ほうれん草を使った実験では茹でた後でもビタミンCが倍以上残ることも確認されるなど、野菜本来の栄養を損ないにくくなります。

肉の調理

肉を煮込む際にアルカリイオン水を使用すると、脂肪がよく抜け、カロリーを押さえる効果があります。

また、レバーやマトンなど臭みのある肉をアルカリイオン水に20~30分浸しておくことで、臭みが少なくなる効果もあります。

麺類の調理

アルカリイオン水でそばやスパゲティなどを茹でると、麺が引き締められコシの強い麺になります。

飲みものを淹れる

pH8.5~10のアルカリイオン水は、コーヒー、紅茶、お茶などの飲み物を入れる際にも活用できます。アルカリイオン水は抽出力が優れており、浄水などに比べてより濃厚でコクのある味わいを引き出せます。

アルカリイオン水と天然水の違い

アルカリイオン水と天然水の主な違いは、お水に含まれるミネラルやイオンの種類と量です。

天然水は、地下水や山の湧き水など自然の水源から採取されたお水です。水源から採取されたお水にはカルシウム・マグネシウム・カリウム・ナトリウムなどのミネラルが豊富に含まれています。

一方、アルカリイオン水は、水道水などを電気分解することによってアルカリ性にしたお水です。この処理により、アルカリイオン水は多くの水素イオンを含み、pH値が高くなります。アルカリイオン水には、元々ミネラルを含んでいないお水を使用する場合がありますが、後からミネラルを添加する処理を行うこともあります。

アルカリイオン水と水素水の違い

アルカリイオン水と水素水の大きな違いは、水に含まれる成分にあります。アルカリイオン水は、電気分解によって水酸化イオンを含むアルカリ性のもののことを指します。

一方で水素水は水に水素ガスを溶解させたもので、カルシウムイオンやナトリウムイオンを含みます。

アルカリイオン水は消化不良や酸性体質の改善、水素水は抗酸化作用による効果と、含まれる成分の違いから、異なる健康効果が期待できる点が大きな違いといえるでしょう。

まとめ

本記事では、アルカリイオン水の定義や効果、飲む際の注意点などについて、詳しく解説しました。

アルカリイオン水には、胃腸症状の改善や口内ケアなどさまざまな効果が期待できます。一方で、アルカリイオン水の飲み過ぎやpH値の高すぎるイオン水の飲用は、逆に胃腸の負担になる可能性もあります。また、赤ちゃんや腎疾患を持つ人などは飲用を避ける必要があります。

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