湧水とは?タイプの違いや飲めるのかなど、意外と知らない情報を詳しく解説
湧水(湧き水)は日本全国のさまざまな土地で湧き出しています。自然豊かな環境で古くから生活に活用されているものや、地域の自然のシンボルとなっているものなどさまざまな湧水がありますが、中には安全性が確認できない湧水も存在します。
そこで本記事では湧水の定義や危険性、安全に飲む方法など、湧水について詳しく解説しています。湧水を安全に飲用してみたい方や湧水に興味がある方は、ぜひこの記事を最後までご覧ください。
湧水の定義とは
湧水は、人々の生活の中で密接に関わってきた歴史があり、今もなお大切な水源として深い関わりを持っています。
湧水は水道水源や飲料水をはじめ、田畑を豊かにするための農業用水、地酒などの名産品を生み出すための産業用水などとして使われ続けています。
まずは、そのような人々と密接な関わりがある湧水とはどのようなお水のことを指すのかを、詳しく紹介していきます。
地下水が自然と地表に湧き出たお水のこと
湧水とは、水循環のプロセスの中で地下水が地表に湧き出たお水のことを指します。
この定義は非常に広い意味を持つため、湧水の中でもさらに細かい種類やタイプに分けることができるのができます。
湧水のもとは上空から降ってきた雨や雪で、これらが地面に染み込んで地層によってろ過されることで、その地域ごとの特性を持ち、地表に湧き出します。
湧水と聞くと透明感のあるきれいなお水を想像する人も多いかもしれませんが、実は濁っているお水やおいしさに欠けるお水もあります。
湧水も含まれる原水の種類をチェック
販売されているミネラルウォーターの原水は、農林水産省が通達しているミネラルウォーター類の品質表示ガイドラインによって定められているので、以下の表を見てみましょう。
種類 | 特徴 |
浅井戸水 | ポンプなどを使って浅井戸から採水した地下水 |
深井戸水 | ポンプなどを使って深井戸から採水した地下水 |
湧水 | 水循環のプロセスの中で自然に湧き出た地下水 |
鉱泉水 | 25℃未満の地下水で、溶け込んでいるミネラルなどによって特徴づけられる、自然と噴き出ている地下水 |
温泉水 | 25℃以上の温かい地下水または温泉法で指定されたミネラルが含まれる地下水で、飲むのに適しているもの |
伏流水 | 透水層に川が流れたときに、地中に潜り込んだお水のこと |
鉱水 | ポンプなどで採水した地下水のうち溶け込んでいるミネラルなどによって特徴付けられる地下水 |
湧水の定義は、あくまでも自然と湧き出ていることが重要になるので、浅井戸水や深井戸水、鉱水のようにポンプを使って採水しているお水は湧水とは言いません。
反対に、鉱泉水や温泉水はミネラルが含まれていることで特徴が分けられていますが、これらも自然と湧き出るお水なので広義での湧水と言えます。
湧き出る地域の特性によってタイプ分けされる
また、湧水は湧き出る地域の特性で7つのタイプに分けられています。
こちらも、以下の表を見て確認してみましょう。
タイプ | 特徴 |
崖線(がいせん)タイプ | 台地や段丘の崖前面から湧き出す |
谷頭(こくとう)タイプ | 馬蹄形や凸地形等の谷地形から湧き出す |
湿地・池タイプ | 地下水が低い土地で湧き出し、湿地や池等を作る |
扇端(せんたん)タイプ | 水の染み込みやすい扇状地扇端では伏流水が多く、それが湧水として湧き出す |
火山タイプ | 溶岩流の積層や岩盤の割れ目を通る、裂か水(れっかすい)や被圧地下水が自然と湧き出す |
傾斜丘陵地タイプ | 砂層と泥層が互層状態で傾斜または、被圧地下水が自然と湧き出す |
その他 | 鍾乳洞など |
日本各地の湧水は、このようないろいろな地形の特徴がある場所で湧き出ています。
湧水の役割
湧水は、「自然の水循環の一部」として、また「地域のシンボル」としての重要な役割を担っています。
自然の水循環は、地表に降った雨水が地下や地表を流れ、最終的に海に流れ込みます。そしてまた水が蒸発し雨となって地表に降るのが、自然の水循環と呼ばれるものです。
この中で、湧水は河川の水源となったり、蒸発による周辺気温の低下などの役割を果たしていたりします。また湧水の水量や水質を調べることで、地下水位の変化や土壌・地下水の汚染状況を知る指標ともなっています。
さらに、湧水は豊かな自然を創出し、人々に潤いや安らぎを提供する観光資源としても、地域のシンボルの役割を果たしています。
湧水は飲める?そのまま飲む危険性を確認
湧水を見つけた際に、思わず手ですくって飲みたくなる人もいますが、本当に危険性はないのでしょうか?ここではその危険性について解説します。
湧き出たままのお水は殺菌されていないため飲むのは危険
湧水は湧き出てすぐの新鮮なお水で、おいしいイメージがあるかもしれませんが、実際は殺菌処理が施されていないため、そのまま飲むと健康に悪影響を及ぼす可能性があり危険です。
土や岩など自然の中を通ったお水は、エキノコックスやピロリ菌などの微生物や雑菌が混入している可能性があります。
対して、水道水やミネラルウォーターなどの市販の飲料水は、人が飲んでも安全な状態に殺菌や消毒がされています。
安全のために、湧水をそのまま飲んでしまわないように注意しましょう。
水質的に飲めるかは自治体に確認する
湧水が飲めるかどうかは、自治体に確認することが大切です。メディアやSNSで実際に飲んでいる場面が投稿されることもありますが、これらを無批判に信じるのは危険です。
湧水は周辺環境の影響を受けやすく、土壌汚染などが原因で水質が悪化する可能性があります。
自治体によっては、湧水の水質検査を公表しているので、必ずこの検査結果を確認するようにしましょう。
水道水のように管理された水質とは異なり、湧水を飲む場合はあくまで自己責任であることを理解しておきましょう。
湧水を安全に飲む方法
湧水の中には飲用できるものも、もちろんあります。ここでは、できるだけ安全に湧水を飲む方法をご紹介します。
煮沸をしてから飲む
1つ目の方法は煮沸をしてから飲むことです。菌は熱に弱いので、煮沸することでほとんどの菌を取り除くことができます。
煮沸する際は、湧水が沸騰した後、5分から10分間続けて煮沸する必要があります。一定時間煮沸することで、熱に弱い菌をすべて死滅させられます。
ただし、熱に強い菌も存在するため、煮沸だけではすべての菌を除去できない可能性があることを留意してください。
ろ過をしてから飲む
2つ目の方法は、ろ過をしてから飲むことです。湧水の中には、上流から流れてきた汚れや目に見えないものが含まれていることがあります。
これらは煮沸だけでは取り除けないため、一緒に飲んでしまうことがないよう、ろ過装置でろ過しましょう。水筒サイズのろ過装置であれば数千円程度で購入でき、持ち運びも便利なのでおすすめです。
コケが生えている部分から湧水を汲む
3つ目の方法は、コケが生えている部分から湧水を汲むことです。コケが生えている部分は一見不衛生に思えるかもしれませんが、これは湧水に塩素が含まれていない証拠となりえます。
自然の水に含まれている塩素は人体に影響のある可能性もあるため、避ける必要があります。
そのためコケが生えているかどうかを調べることは、おいしい湧水かどうかを見分けるポイントの1つになります。
ただし、コケが生えているだけでは塩素が無いことがわかるだけで、湧水に含まれる菌がすべて無いということではありません。飲用として利用する場合には、煮沸してから飲むようにしましょう。
市販の湧水を買う
4つ目の方法は、市販の湧水を買うことです。これまでご説明した通り、ろ過や煮沸により湧水を飲む際のリスクはある程度軽減できますが、確実に安全な状態にはできません。
市販されているペットボトル入りやウォーターサーバー用の湧水は、適切に処理され、パッケージングされており、厳しい検査をクリアしたものだけが販売されています。どうしても安全性を重視するなら、市販の湧水がもっとも安全です。
湧水に賞味期限はある?
自分で汲んだ湧水は、市販のミネラルウォーターなどと異なり賞味期限が表示されていません。湧水は殺菌や消毒といった水質管理措置を受けていない場合が多く、その結果、不適切な成分が含まれることもあります。そのため、水温の上昇や時間の経過によって菌が繁殖しやすくなり、長期保存には適していません。
できるだけ清潔な状態で飲むためにも、自分で汲んだ湧水は、汲んだ当日のうちに早く飲みきるようにしましょう。
代表的な湧水スポット
次に代表的な湧水スポットとして、以下の4つをご紹介します。
- ・山梨県 忍野八海
- ・北海道 羊蹄のふきだし湧水
- ・熊本県 池山水源
- ・長野県 安曇野わさび田湧水群
山梨県 忍野八海
忍野八海は、山梨県忍野村にある国の天然記念物に指定されている八つの池の総称です。忍野八海の湧水は、富士山麓に降った雪や雨が数十年もの間富士山内で伏流し、湧水が八つの池に湧き出ています。
湧水は観光客の多い「涌池」の周りで採取することができ、自由に持ち帰ることができます。
北海道 羊蹄のふきだし湧水
羊蹄のふきだし湧水は、羊蹄山山麓の北海道虻田郡京極町にある湧水スポットです。羊蹄山に降った雨や雪が数十年かけて地下に浸透し湧き出たもので、標高200メートル地点では、1日あたり8トンもの水が湧き出ており、北海道でも有数の湧出量として知られています。
生活用水としても活用されており、硬度が非常に低く、まろやかで飲みやすいのが特徴です。「ふきだし公園」で誰でも自由に採水が可能です。
熊本県 池山水源
池山水源は熊本県の阿蘇にある、毎分30トンという豊富な湧出量で有名な湧水です。池山水源は樹齢200年以上の巨木に囲まれた水源で、中央には「水神様」が祀られているなど、神秘的な雰囲気を持っています。
その湧水の水質は飲用としても使えるほど良好で、地域住民の飲水、農業用水として用いられてきました。現在では観光客などでも湧水を持ち帰ることができます。
長野県 安曇野わさび田湧水群
安曇野わさび田湧水群は、安曇野にある「名水百選」にも認定されている湧水スポットです。北アルプスの雪解け水が湧き出ており、湧出量は1日に70万トンにも及びます。
真夏でも水温は15度前後に保たれており、その豊かな水量と良好な水質が特徴です。大正時代からはわさびの栽培に用いられており、長野県はわさびの販売量日本一になっています。
飲まないほうがいい湧水の特徴
湧水は、土地環境の影響を特に受けやすく、飲むのを避けたほうがいいものも多くあります。ここでは飲まないほうがいい湧水の特徴について詳しく解説します。
近くに温泉がある
1つ目は近くに温泉がある湧水です。温泉水にはフッ素やヒ素など、人体にとって有害な成分が含まれている可能性があります。
温泉の入浴中に取り込む程度であれば人体に影響はありませんが、大量に飲むと中毒症状を引き起こす可能性が高くなります。
温泉に近い湧水には温泉水から染み出したヒ素やフッ素が含まれている可能性が高いため、飲まないようにしたほうが良いでしょう。
近くに鉱山がある
2つ目は鉱山に近い場所にある湧水です。鉱山は周りの土地や水質に大きな影響を及ぼすことも多く、世界中で土壌汚染や水質汚染などの問題が起こっています。
湧水も例外ではなく、鉛や亜鉛、カドミウムなどの重金属が含まれている可能性があり、体内に蓄積すると神経系や内蔵、脳などに重い症状が出る可能性があります。
赤色に変色した湧水は、硫酸塩が多く含まれている可能性があり、触れるだけでも危険ですので、注意してください。
上流に産業廃棄物がある
3つ目は、上流に産業廃棄物がある湧水です。近年、産業廃棄物の不法投棄が社会問題となっていますが、湧水の上に産業廃棄物が放置されている場所や、処理場がある場合は、湧水の水質にも大きな影響が出ている可能性があります。
産業廃棄物には、PCB(ポリ塩化ビフェニル)や水銀など体内に入ると重い症状を引き起こす物質が含まれていることがあり、こういった物質は長い期間をかけて土壌に染み出します。
湧水が汚染された土壌を通ることで、湧水自体も汚染されてしまうので、絶対に飲まないようにしてください。
上流に家畜の飼育施設・農耕地がある
4つ目は上流に家畜の飼育施設・農耕地がある場合です。家畜の飼育施設や農耕地が上流にある場合、家畜の糞に含まれる大腸菌や散布された農薬などが土壌に浸透し、湧水にも含まれている可能性があります。
家畜の糞には大腸菌や農薬などの薬剤が含まれています。種類によっては食中毒のような症状を引き起こす場合もあります。 農薬に関しても近年は人体に影響が少ないものが開発されていますが、完全に安全であるというものでもありません。飼育施設や農耕地がある場合も、決して湧水を飲まないようにしましょう。
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コスモウォーターでは、常に安心安全なお水をお届けできるように、定期的に放射性物質検査などの水質検査を行っています。
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しっかりと検査済みの安全が確認されたお水を飲みたい人は、コスモウォーターがおすすめです。
コスモウォーターの安全性についてはこちら:安全・衛生面への取り組み
まとめ
本記事では、湧水とはどんなものか、その危険性や安全に飲む方法などについて詳しく解説しました。なかには、細菌や人体に有害な物質が含まれていることもあり、安全に飲めるものはそう多くはありません。
「安心安全でおいしい水を飲みたい」のであれば、販売されているものを利用するのがおすすめです。 コスモウォーターは全国の採水地からとったミネラル豊富で美味しい天然水を、徹底した品質管理のもとでお届けしています。湧水よりも安全安心なお水を飲みたいという方は、ぜひコスモウォーターを検討してみてはいかがでしょうか。
〈参考サイト〉
湧水とは|東京都環境局
湧水保全・復活ガイドライン|環境省
(上記すべて参照:2023-12-5)